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…ですから、ライドシステムの特徴は神姫と心を通わすことによって実現する究極の一体感にあります。神姫との関係はどちらかが与えるというものではなくお互いに与えあうものであるべきです。その実現例であるライドオンシステムの初お披露目の舞台に立ち会えたことに無上の喜びを感じます。神姫と人との関係は今まさに完成されたといえるでしょう。では、ここに、神姫と人との融和の象徴である第一回神姫Fバトルの開催を宣言します。人と神姫の輝かしい未来への一歩を、皆様盛大な拍手でお迎えください。 -某MMS管理機構役員によるFバトルの開会宣言。この2週間後、再三の注意にもかかわらずライドシステムの搭載を拒んだ神姫がイリーガル指定を受ける初の事例が起こった。 連続神姫ラジオ 浸食機械 3:巨獣不倒 エントランスに少ないながらも人が残っていた。ほとんどの人はうなだれて無気力だったり不安そうな表情を浮かべている。それは彼らに付きそう神姫も同じだった。中にはお互い笑みを浮かべている組み合わせもあるがそんな彼らの表情もどこかうつろに感じられた。 「皆さん、不安なんですね」 不安そうな表情で声をかけてくるプルミエと同じ感想を僕も感じた。だからこそガラス張りの喫茶スペースにどっかり居座りカツ丼をかっくらっている大きな男の人と、その傍らでジェリカンを豪快に傾けているストラーフはこの空間の中で強烈な印象を放っていた。 「うむ、腹もいっぱいになったところで、行くか」 『わかった、マスター。反撃開始だな』 立ち上がり、施設の奥に向かっていく二人に興味を引かれて僕たちは彼らの後を追うことにした。 「あのストラーフ、どこか異常があるんでしょうか、声が」 僕は頷く。彼女の声は電子ノイズがかかったようなかなり異質な声だった。そんなことを考えていると件の声が曲がり角の向こうから聞こえてくる。 「どうしてお前はマスターと一緒におるんや!!うちはマスターに捨てられたっちゅうのに!!あんなにマスターに尽くしたのに、いっぱい愛してもらったのに!」 「ふん、甘えたことを言うな。神姫がマスターに尽くすのは当然だ」 『お前はマスターにとって結局それだけの存在にしかなれなかったんだよ。ただのオモチャにしか』 「たわけが!ナマ言うなや!」 僕らが角を曲がりきったところで見たのは牙をむきだしたティグリースに切り伏せられたストラーフの姿だった。その動きはマスターなしの神姫では考えられないほど力強い。ティグリースはとどめを刺そうと刃を振り上げる。僕は… 「危ない」 と叫び飛び出した。でも、刃が振り下ろされる事はなかった。男の拳が唸り、ティグリースは壁まで吹き飛ばされて動きを止めた。 「ふん、つまらん相手だ。ハーデス、行くぞ」 『ああ、了解だマスター』 「お前達もつまらん邪魔をするなよ」 僕たちの方を見ようともせず声をかけると男は何事もなかったかのように歩き出した。ハーデスと呼ばれたストラーフもよろよろ立ち上がりついて行く。なおも彼らを追いかけようと歩みを進める僕らに吹き飛ばされたティグリースが話しかけてきた。 「今の…見た?ハハッ、あいつ…人のことさんざん言っておきながら自分だって怪我してもマスターにかまってもらえないじゃないか。お前だってオモチャだよ。くくっ、マスターに呪いあれ、神姫に恨みあれ」 不気味な言葉をつぶやき続けるティグリースをその場に残して僕は先に進む。修理する技術は僕にはないし、プルミエとこの島を出るためにも彼らが何をしようとしているのかを知ることの方が大事だからだ。彼らとは少し先の薄暗い廊下で再会した。 『電子ロックのようだな。私ではこれをクラッキングするのは無理だ』 「ふん、では仕方あるまい」 二人は筐体ルームとプレートが下がった部屋の前で話をしていたがおもむろに男は扉を殴りつけ始めた。轟音が響き、重い鉄の扉がへこむが開く様子はない。 「おいおい、一体何をやってるんだあいつは」 「どうやらライドオン筐体のところに行きたいらしいですわね。それにしても無茶苦茶ですわ」 突然後ろから声が聞こえた。僕が驚いて振り返るとそこには犀型神姫ディアドラをつれた男が立っていた。 「でも現状で最も有効そうな手ですわね」 「だな。ルート、お前あの扉破れるか?」 「難しいですわね」 ディアドラが肩をすくめて答える 「マスターに増設していただいた管制機器のメモリをすべて使えば失敗する方が難しいですわ」 「上等、それじゃあ行くか」 二人が男の方に歩いていく。何事か短く話した後ルートと呼ばれた神姫がケーブルを伸ばし扉のコンソールに接続した。少し迷ったが僕は彼らに声をかけることにした。 「何をしているのかだと?」 ハーデスのマスターが答える 「決まってるさ」 ルートのマスターがにやりと笑って振り向く 「俺たちはライド筐体を確保して神姫ライドする」 「そうすればルート達は全力で戦えるようになる」 『あのいけ好かないコンパニオン神姫は人の来るところにいてやる義理はないとほざいた』 「つまり現状あいつの元にたどり着ける可能性があるのはあたし達神姫だけ」 プルミエがあっと声を上げる 「もちろんライド筐体もあいつらの手に落ちている可能性はあるさ」 「だが成功すればハーデスと共に奴らをたたきのめす事ができる」 ルートの方からピンという音が聞こえた。扉が開き向こうから明かりが漏れ出す。 「つまり、俺たちは反撃にでるのさ」 次章:大地咆吼に続く:戻る
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戦うことを忘れた武装神姫・番外編 ちっちゃい物研・商品案内-7 <東杜田技研・新製品のご案内-7> 〜謹 告〜 先日、発売延期のお知らせをいたしました「DMH17-Style」ですが、 諸般の事情によりの開発中止となりました。 ご興味・ご関心を寄せて頂いた皆様、ならびに、各方面の皆様に深く お詫び申し上げます。 引き続き、当社ではより良い製品の開発に努めてまいりますので、 何卒、ご理解賜りたく宜しくお願い申し上げます。 なお、サブパワーユニットの開発は現在も継続して行っており、今回 中止となりました、「DMH17-Style」に代わり「DMH-SP」を近日中 にリリースいたします。 下記に案内を掲載いたしましたので、ご一読いただければ幸いです。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ このたび、弊社の小型ロボット向け機器ブランド「HT-NEK」では、 プロフェッショナル志向のサブパワーユニット「DMH-SP」を新たに 発売いたします。 !警 告! 本製品は、神姫本体を大幅にパワーアップさせる装置です。使い方 を誤りますと、神姫ご自身の破損や、周囲へ甚大な被害をもたらす 事故につながる可能性もあります。 重量も、他のオプションユニットに比べ重いため、装備時には神姫 本体のバランスが大きく崩れます。 従いまして、オーナー様・神姫本体ともに対戦を始めとした諸活動 に十分慣れている、あるいは耐えられるだけの補強がなされている ことが使用上の条件となります(詳細はパッケージをご覧下さい)。 なお、本製品を使用されて生じた故障・破損・事故等につきまして は、当社では一切の責任を負いかねますので、ご了承下さい。 なお、サブパワーユニットを対戦での使用を禁止しているリーグも ございますので、対戦での使用時には開催者等にご確認下さい。 〜武装神姫専用サブパワーユニット「DMH-SP」主な特徴〜 ■今までにはなかった、高効率燃料電池システムを駆使した強力な サブパワーユニット。 弊社小型機械技術研究製作部の、技術の 結晶でもあります。 ■通常電源供給のみならず、各駆動部へ直結状態としたモードでの 使用も可能。 その場合、ストック状態の神姫と比べ2〜8倍、他 の装備次第では、最大で約10倍の出力を発揮する事が出来ます。 (当社試験による参考数値)。 ■デザインはかつて鉄道車輌で多用されていたディーゼルエンジン 「DMH-17機関」そのものを再現、精密さと力強さを両立させた スタイルとなっております。 燃料タンク等も、DMH17H機関と 併せて使用されていたものを基にデザインいたしました。 ■本シリーズは全部で2種類。いずれも、1ユニットタイプです。 ・DMH-SP・17-G 電力等の「持続時間」を重視したタイプ。高性能電源安定 供給ユニットを搭載しています。持久力が求められる持久 対戦時や長時間の屋外活動時のみならず、ビジネスシーン でもご使用にも最適です。 ・DMH-SP・17-H 出力重視型のタイプ。 システムが極力単純に設計されて おりますので、短時間に限りますが、過負荷使用にも耐え うる堅牢さを持っています。何よりもパワーを求める貴方 には、こちらをお奨めいたします。 ■燃料には当社発売予定の専用アルコールを使用いたしますが緊急 の際には市販のエタノールを使用することが出来ます。(専用の 燃料に比べ出力・持続時間とも低下いたしますが、動作保証対象 となっております。) ※なお重量の関係上、神姫のポテンシャルによっては、行動に大幅 な制約(機敏性低下)が生じる場合があります。 ※パワーアップにより生じた神姫の破損、および事故等による周辺 への損害等への保証は致しかねます。ご了承下さい。 新たな情報は随時公開いたしますので、HPにてご確認下さい。 <武装神姫専用サブパワーユニット「DMH-SP」> ・対応武装神姫 現在発売中の全武装神姫(純正拡張ハンガーが使用可能な神姫に 限ります) ・対応オプションパーツ 17-G/17-H 両対応・静穏冷却システム(純正パーツとの交換式) 17-G 専用・ビジネスカバー(静穏冷却システムとの併用推奨) 17-H 専用・ターボキット(要本体加工・取扱DVD付属) ※ターボキット装着は本体の加工を伴うため、装着後の故障は 保証の対象外となります。ご注意下さい。 潜水用キット(水中対応化キット。本キットを用いずに水中使用 もしくは水没された場合は、保証外となります。) 防寒カバーA寒地仕様(重装防寒型) 防寒カバーB寒地仕様(簡易防寒型) 大型燃料タンク(ポリタイプ) 大型燃料タンク(スチールタイプ) ・付属装置・付属品 マニュアル、専用拡張ベース、収納ケース ・発売予定価格 (現在未定) ・発売予定時期 (今夏予定) 以上 <<トップ へ戻る<<
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犬子さんの土下座ライフ。 武装神姫の呼称は"犬子さん"、オーナーの呼称は"マスターさん"。 ごく普通のオーナーと武装神姫は、ごく普通に購入され、 ごく普通にオーナー登録されました。 でも、ただひとつ違っていたのは、オーナーは機械オンチだったのです。 ヤマもなく、オチもなく、でも多分、意味はあるんじゃないかなーといった、ヌルめな武装神姫SSをどうぞ。 Web拍手 お気に入りいただけたら押していただけると喜びます。 更新情報 【本編】(2008-12-31) ○土下座その17 -二年参り編-を追加しました。 【その他】(2009-1-4) ○第七スレの6さまに頂き物をしたので、飾らせて頂きました。 第七スレの6さまどうもありがとうございます(深々) あわせて、TOPを少しいじってみました。 (画:第七スレの6さま。) ○登場人物および舞台設定 本編 土下座その17 -二年参り編- (2008-12-31) ○無存在 VS 同時存在……あるいは、コドモの思いつき VS コドモの屁理屈。 土下座その16 -神姫三本勝負編・結- (2008-2-4) ○マスターさんのターン → 犬子さんさんのターン。 *鋼の心 ~Eisen Herz~より、どっかで見たような方が 通りがかっています。 土下座その15 -神姫三本勝負編・転- (2008-2-4) ○佐藤君のターン → マスターさんのターン。 土下座その14 -神姫三本勝負編・承- (2008-2-3) ○そして土下座ハウリンの伝説が今、幕を開ける。 *「クラブハンド・フォートブラッグ」より、どっかで見たような方を 噂させていただいております。 土下座その13 -神姫三本勝負編・起- (2008-2-3) ○負け犬たちの作戦会議。 *「鋼の心 ~Eisen Herz~」より、どっかで見たような方を 噂させていただいております。 土下座その12 -卓袱台@楽屋裏編- (2007-10-10) ○ハウリン芸に隠された、真実に迫る! 土下座その11 -卓袱台・オン・ステージ編- (2007-10-10) ○今、新たなるハウリン48の宴会芸が明らかに! 土下座そのじゅう -初陣編・後- (2007-9-26) ○楽しかったか、否か。 土下座そのきゅう -初陣編・前- (2007-9-26) ○勝てるか、否か。 土下座そのはち -お出かけ編・後- (2007-9-21) ○されど土下座魂は消えず。 *「魔女っ子神姫 ドキドキ☆ハウリン」、「妄想神姫」、 「神姫ちゃんは何歳ですか?」「Gene Less」より、 設定を流用させていただいております。 土下座そのなな -お出かけ編・前- (2007-9-21) ○初の土下座なしエピソード。 土下座そのろく -購入秘話編- (2007-9-16) ○わりとノンフィクション。 土下座そのご -約束編- (2007-9-16) ○誰かを真剣に心配することは、美しいこと……だよね? 土下座そのよん -武装編・後- (2007-9-15) ○人と武装神姫は、違うモノ。 でも、相容れないモノってワケでもない。 土下座そのさん -武装編・前- (2007-9-15) ○戦うだけが、武装神姫じゃない。 でも、戦うことだって武装神姫。 土下座そのに -ご挨拶編- (2007-9-13) ○第一印象は大切です。 土下座そのいち -起動編- (2007-9-13) ○なにごとにも最初はあるもので。 コラボ 土下座コラボ その3 -展覧編- ○メール開通記念小ネタその3 神姫愛好者さま宛。 土下座コラボ その2 -輝魔編- ○メール開通記念小ネタその2 妄想の人さま宛。 土下座コラボその1 -遠征編- ○メール開通記念小ネタその1 ALCさま宛。 (リンクは鋼の心 ~Eisen Herz~内のページに通じています) 3Sが斬る! ……は、こちらに移動しました。
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{表の世界の戦闘} 現在、俺がいる所は神姫センターにいる。 細かく言うと神姫センターの中にあるオフィシャルバトルという部屋に居る。 この部屋には巨大な箱型の筐体がいくつもあり、その中で武装神姫達が戦うバトル用の室内みたいなもの。 ルールは簡単。 武装神姫同士がバトルし、力尽きた神姫が負けというシンプルな勝敗だ。 オーナーの場合、基本的に神姫が闘っている間はオーナーはただ見てるだけ。 観戦というべきかな? ある程度オーナーからの指示とか命令を言ってよいとも聞いたし、まぁ司令塔みたいなもんだな。 俺はそんな部屋の中が見渡せる場所の椅子に座って煙草を吸ってた。 勿論喫煙用の席でだ。 ん、何故俺がこんな所にいるかって? 一応バイトだからといって、俺はこいつ等(アンジェラス達の事)のオーナーだからなぁ。 ズーっと部屋の中で遊ばせとくのも、ちょっとなぁ~、と思い俺は神姫達にこう聞いた。 「お前等、バトルに興味あるか?」 言ったあげく、この場所に来てしまったというわけ。 あの時のクリナーレの様子は凄かった。 『やっと闘えるよー!』と言いながらはダンベルをブンブン回しながら、はしゃいでいたもんなぁ。 そして以外にも、気が弱いパルカがバトルに興味があるという事。 アンジェラスやルーナについては、バトルする否かは俺の意志に従うまでらしい。 そんなアンジェラス達は今俺の両肩にチョコンと座ってワクワク、ウキウキしているご様子。 …そろそろ行くか。 煙草を灰皿に入れ、立ち上がる。 そのまま寄り道せずに、他の人が使ってなくて空いている筐体の目の前で立ち止まる。 ふむ、中はゴーストタウン…かぁ。 よく出来てる。 俺がフムフムと筐体に興味を示してると、クリナーレが俺の頭に上り騒いだ。 「ねぇねぇ、アニキ!ボクが一番最初に闘っていい?」 どうやらクリナーレの奴は初陣したいらしい。 その発言を聞いた他の神姫達も。 「ご主人様、我侭は言いません…ですけど、やっぱり一番最初にご主人様と一緒に闘いたいです!」 「アタシもお姉さまと同意権ですわ」 「お兄ちゃんのためなら、私、頑張ります!」 アンジェラスは俺の目の高さに合わせ、リアウイングAAU7を使って空中停止しながら言う。 ルーナは俺の右耳近くで言い、パルカは左耳近くで言う。 俺は溜息を吐き、空中停止しているアンジェラスを右手の手の平に着地させる。 「あのな~お前等。対戦相手がいないのに、そーハシャグなよ。誰が初陣を切るかは俺が決める。だから大人しく待ってろ」 『は~い』と四人一斉に言う俺の神姫達。 意気投合してるなぁ~。 おっとー。 対戦相手が来たみたいだ。 年齢は俺より上のサラリーマンぽい人だった。 軽く挨拶してお互いのどの神姫と闘わせるか話す。 対戦相手のオーナーレベルは中の下ってな感じだな。 相手の神姫は悪魔型のストラーフかぁ。 レベルは…20。 攻撃・命中・回避・防御も全て平均的。 LP・SPはレベル無し。 さて、誰で初陣を切るか…。 アンジェラスは近距離・中距離・遠距離で斬撃・射撃が得意、何処でも攻撃できる万能型。 クリナーレは近距離で打撃が得意、高い攻撃ができる近距離型。 ルーナは中距離で斬撃が得意、ヒット&ウェイでトリッキーな攻撃ができる中距離型。 パルカは遠距離で射撃が得意、スナイパーな攻撃ができる遠距離型。 ん~どれも利点があるけど、相手の武装が気になる。 さぁ誰を選ぶか…。 「相手の武装が解らないからここはアンジェラスで」 「接近して相手をすぐ倒すクリナーレで」 「トリッキーな攻撃で相手を翻弄させるルーナで」 「相手を寄り付かせないで倒すパルカで」
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私が第2回カイザートーナメント(?)にて優勝を覚めた私の中での最強デッキ 雪風の死者・神姫(かみひめ)です。 使いたい人は…いないと思いますが、気が向いたら一度構築して、私の気分を味わってもらえるとありがたいです。 別に勝手に使ってくれていいけど…出来れば、一言かけてほしいです。 合計枚数;40枚(エクストラデッキ除く) モンスター16枚 ピラミッド・タートル ピラミッド・タートル 魂を削る死霊 闇より出でし絶望 闇より出でし絶望 ゴブリンゾンビ ゴブリンゾンビ 氷帝メビウス 氷帝メビウス 黄泉ガエル ゾンビ・マスター ゾンビ・マスター ゾンビ・マスター 馬頭鬼 馬頭鬼 馬頭鬼 魔法16枚 光の護封剣 死者蘇生 大嵐 手札抹殺 サイクロン 抹殺の使徒 早すぎた埋葬 生還の宝札 強制転移 生者の書-禁断の呪術- 生者の書-禁断の呪術- 地砕き おろかな埋葬 おろかな埋葬 ライトニング・ボルテックス 洗脳-ブレインコントロール 罠8枚 聖なるバリア-ミラーフォース- 激流葬 魔宮の賄賂 魔宮の賄賂 魔宮の賄賂 次元幽閉 次元幽閉 次元幽閉 エクストラ2枚 キメラテック・フォートレス・ドラゴン キメラテック・フォートレス・ドラゴン
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SHINKI/NEAR TO YOU Phase01-3 一向はモノレールに乗り無事市街地へと到着した。 「ふむ、ここが摩耶市のですか。多少煩雑な趣きですが、賑やかな所ですね」 初めてくる市街地がめずらしいのか、ゼリスは駅を出るなりキョロキョロと周囲の街並みを興味深そうに眺めている。 「あちらの派手な外装の建物は? 何やら騒々しい音がしますが」 「ゲームセンター。いろんなゲーム機で遊ぶところよ、ぜっちゃん」 「あのような棒でボールを突いて……何が目的なのでしょう」 「あれはビリヤードね。テーブルの玉を脇のポケットに順番に落としていくゲームよ」 ゼリスは「人間の娯楽はよく分かりませんね」と言いながら、今度は通りの反対側を指差す。 「あれはなんですか? 人形の猫が飲食物を持っています」 「あれはピザキャットの客引き用マスコット〝ニャンキー君〟ね。帰りに寄ってこうか?」 「は~いは~い。ボクはスペシャルニャンキーセットがいいっ!」 姦しく騒ぐ少女三人組(?)の会話を、シュンはうんざりしながら聞いている。さっきから自分たちに向けられる視線が結構痛い。 「それにしてもこの辺りの人たちは神姫が珍しいようですね。道行く皆が私たちを見ていきます。シュン、どういうことでしょう?」 「お前がさっきから人の頭の上に座ってるからだろうがっ!」 思わず声を荒げたシュンは、すぐに周りの好奇の目に気がついた。仕方なくまたブスっと口をつぐんで仏頂面に戻る。モノレールを降りてから、ゼリスはよりにもよって彼の頭の上に居座っていた。 彼女いわく「この方が周囲をよく見通せていいのです」だそうだ。 「あはは。シュっちゃんて昔っから女の子にはテンで弱かったもんね~」 お前が言うなよ、お前がっ。 「ところでさ、シュっちゃんたちは今日どんなパーツを買う予定なの? 物によってオススメルートが変わるから、参考に聞かせてくれると助かるなぁ」 笑いから一転真面目な顔つきに戻った伊吹を見て、シュンも今日の目的を思い出す。そうだった、今日はただ遊びに来たんじゃない。 「え~っと、クレイドルのオプションと周辺機器の他に……。後は……そうそうメモがあったんだ」 シュンは出掛けにジーンズのポケットに突っ込んだままだったそれを取り出す。「どれどれ?」と伊吹がそのメモを興味深そうに手に取る。 「へぇ~……って、これってかなり上級者向けのパーツよ。オーナーになったばかりのシュっちゃんには難しくない?」 「そうなのか? 優のヤツから渡されただけだからよく分かんない」 「ああ、これ優ちゃんが書いたんだ」 有馬優(アリマ ユウ)はシュンの2つ年下の妹だ。最近すっかり生意気になってきたのがシュンとしては少し寂しいかぎり。どうにもよく分からないが、いわゆる思春期の反抗期ってやつだろうか。ちなみに小学校は休みじゃないので、今日は連れてきてない。 「ふ~ん、なら安心だね。優ちゃんしっかり者だしね」 「私としましても、ユウのリストアップしたものならば信頼が置けます。さらに舞さんに厳選していただければ万全ですね」 「僕への信用はゼロかよ……」 シュンの呟きを黙殺しつつ、伊吹とゼリスは早くも意気投合しつつあるようだ。 「ふふふ。ありがと、ぜっちゃん。ああ、ゼリスちゃんだからぜっちゃんで問題ないよね?」 「どの様に呼称されようとそれがそのものの本質――つまりは私自身を指すのであれば問題ありません。舞さんのお好きな呼び方で結構です」 「リョーカイ♪ それじゃあ頑張ってぜっちゃんにピッタリなパーツ選んであげるからね。今の服もカワイくていいけど、そのままじゃね~」 そう。伊吹の言う通り今のゼリスはおよそ戦いとは無縁な装いに身を包んでいる。黒地を白のレースと若草色のリボンで飾ったドレス、俗にいうゴスロリ・ファッションというヤツだ。 こんな格好した神姫が頭の上に座ってれば、そりゃ目立つよな。なんで武装神姫であるゼリスがこんな服を着ているのかは……やめよう、これ以上頭を痛めたくない。 そんなシュンの心中を知ってかしらずか。張本人であるゼリスは彼の頭上ですっかり観光モードに入っている。周りの目を気にするとかいう考えは、そもそも発想すらないのだろう。 全くこいつは、その小さな体で何考えてるんだか。 出会ってからそれなりの時間が過ぎたが、シュンには未だにゼリスが何を考え、何を思って行動しているのか分からなかった。 そもそもこいつ、僕の事を本当に自分のオーナーだと認めているのか? シュンは沸き起こる葛藤を振り切って、先を行く伊吹の後を追いかけた。とにもかくにも。何でもいいからパーツを買って、まずはせめてゼリスにもっと神姫らしい格好をさせよう。 ……この周りからの好奇の目線に、帰りも耐えられそうにないから。 * 武装神姫による対戦ゲーム「武装神姫バトル」が始まったのは、神姫タイプ発売から一年後の2032年のことだ。 武装神姫バトルは管理運営機関である「武装神姫バトル管理協会」の元、幾度ものバージョンアップ、レギュレーションの厳格化、様々なレイティング・クラス分けの導入、オフィシャル・フリーなどの興行様式の明瞭化、関連施設の充実などを経て徐々に洗練されていき、スタートから数年で国内アミューズメントとしての人気と地位を確立させた。 今や年数回開催される公式大会ともなればこぞってマスメディアに取り上げられ、その人気は日本国内だけに留まらず遠く海外にまで広がりつつある。 そうした神姫ブームの立役者が全国各地に点在する神姫専門商業施設「神姫センター」や、神姫をメインに取り扱ったMMSショップの存在だろう。 取り分け専用施設である神姫センターは施設内の各店舗によって神姫の購入、カスタマイズ、修理など様々なサポートを受けることができ、初期ユーザーにとって心強い味方となった。 神姫センターは武装神姫アミューズメントの中心として、現在もなお多くのユーザーたちが訪れる場所となっている。 「うわぁ~、すっげーなぁ」 初めて訪れる神姫センターに、シュンは素直に感嘆の息をもらした。エントランスから施設内に入るとそこはセントラルコートになっていて、平日にも関わらず多くの来客が行きかっている。 正面には大型モニターが設置され、二股の槍を構えた神姫と巨大な十字手裏剣を持った神姫の戦う姿が映し出されている。CMでお馴染みの音楽が流れ、否が応にも気分が高まる。 「ちょっと、あまりキョロキョロすると恥かしいわよ」 「シュンはおのぼりさん♪」 すでに何度も訪れている伊吹とワカナがたしなめるが、シュンは初めて味わう神姫センターの雰囲気にすっかり当てられていた。 「だってさぁ、僕は神姫センター来るの初めてだし。おお、あれなんだ?」 「シュン、それよりもあちらの奥にあるものは気になります。確かめに行きましょう」 「待て、ゼリス。あっちにはあんなのがあるぞ」 「いいえ、それよりもあの上の方に見える施設の謎を解明するのを優先すべきです」 「ああ、ゼリス。向こうから何やら楽しげな音楽が」 「ふむ、あそこの人たちは一体何をしているのでしょう? さらなる謎が……」 「むむむ……」 「なんと――っ」 「右、いや正面かっ?」 「見える……私にも敵が見え……」 「いーかげんにしなさ―――いっ!!」 伊吹のツッコミが眉間に命中し、ようやくシュンとゼリスはハッと我を取り戻した。 「僕たちは一体今何を……」 「なるほど、これが人間たちを魅了する神姫センターの魔力というヤツですか。怖ろしいものですね」 「ああ、気をつけないとな」 神妙な顔で頷きあうふたりに伊吹は呆れつつ、気を取り直し武装神姫ユーザーの先輩としてこの新人コンビの先生役に戻ることにした。 「全く……いい、ふたりとも。一通り神姫センターの施設も案内してあげるから、フラフラせずにしっかりついてくるのよ。そうじゃないと、迷子になっても知らないから」 ジト目で睨む伊吹に、シュンとゼリスに何故かワカナまでがこくこくと頷いた。 必要パーツの購入は問題もなくスムーズに進んだ。 シュンは優から渡されたメモに書かれたパーツの種類の多さから考えて、正直今日中に全て回るのは難しいと思っていた。 しかし、メモを受け取った伊吹は不慣れな彼の代わりにどのパーツをどの店舗で買えばいいのか瞬時に判断し、すぐさま最も効率的なルートを決めてくれた。おかげで途中ゆっくりとした昼食を挟みながら、余裕を持って店舗内を回ることができた。 一通り買い物を済ませたシュンたちは、センター内の軽食店で休憩がてら早めの三時のおやつを楽しんでいた。 「今日は本当に助かったよ。僕たちだけで来てたらこんなにうまくいかなかったからな」 シュンは今日見て回った神姫センターの広さを思い出しながら、素直な感想を述べた。もしゼリスとふたりだけだったら、何を何処で買ったらいいか分からずに途方に暮れるところだったろう。オマケに伊吹が行く先々での値段交渉までしてくれたおかげで、出費も覚悟していたものより軽く済んだ。 だからこそ彼は今こうして、気分良く今回の功労者である伊吹にお礼を兼ねて奢ったりできる訳だ。 「持つべきは頼れるカワイイ幼馴染ってね。シュっちゃんもこれで改めてあたしの有難みが分かったでしょ?」 パフェを口に運びつつ伊吹はご満悦。 「本日のお手並みは見事でした。ルート選択も非常に合理的で、常日頃からの蛍雪が伺えます。伊吹さんはシュンには勿体無いくらいの有徳を持った方ですね」 ほっとけ。まあ、ゼリスも買い物が順調に運んで、気分がいいようだからよかったか。 シュンは大きく伸びをする。テーブルの上ではゼリスが、伊吹がパフェを平らげていく様を見つめている。その横ではワカナが午後のお昼寝タイム中。 朝はいろいろ不安だったものの、買い物中も特に問題も起きなかったし、このままなら今日は無事に一日を終えることができそうだ。 「ふ~、さてと。お腹もふくれたことだし、さあ行こっか!」 「行くって……何処にだよ?」 伊吹はまだ寝ぼけ眼なワカナを抱きしめ勢いよく席を立つ。もう必要なところはすべて回ったはずだし、帰りの時間にはまだ早い。キョトンとするシュンとゼリスに、伊吹は不適な笑みを浮かべる。 「ふっふっふ、諸君。神姫センターといったらアレしかないでしょう?」 「ふむ。伊吹さん、アレとはなんでしょうか?」 首を傾げるゼリスとシュンの前に、彼女は店内に設置された情報モニターを指差した。 そこには次々と眩いエフェクトが切り替わりながら、ひとつのトピックが流れていた。 『NEWヴァーション武装神姫バトル筐体、登場! 美しき神姫たちの熱いバトルが君を待っている!』 ▲BACK///NEXT▼ 戻る
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MMS戦記 外伝「敗北の代価」 「敗北の代価 8」 注意 ここから下は年齢制限のある話です。陵辱的な描写やダークな描写があります。 未成年の方は閲覧をご遠慮下さい。 私は戦った・・・ 私は戦いに命を賭けた。賭けるに値すると信じていたからだ。悲しいかな私の周りの人々は何も賭けてくれなかった。彼らの頭の中には自分たちだけの小さな幸せと身の安全しかなかった。敗北は確かに惨めだ。しかし、敗北というリスクを抱えてまで戦って守ろうとするものを持たぬ人間はもっと惨めだと思う。 だから私は戦った それだけのことだ・・・ 濃いスカイブルーの海の真ん中を大型の真っ黒な客船が進む。 最上階にある露天式のバトルフィールドで、激しい戦闘が繰り広げられている。 観客たちは、興味深そうに飲み物や食べ物をつまみながら観戦し、観声を上げる。 青空の虚空の下で、パッパッと光が瞬く。 その光の一つ一つには意味があり、感情と記憶があったがそんなものはすぐに川の流れのように流れていき消え去りそして溶けてなくなっていく。 ガレキと化した廃墟ビルの間を盾に、数十機あまりの武装神姫が大小様々な火器で砲撃を行っている。 その一群でリーダー格の重武装の神姫が叫ぶ。 □駆逐戦闘機型MMS 「エルザ」 Sクラス オーナー名「野崎 有紀」 ♀ 21歳 職業 フリーター エルザ「ええい、ヘタクソ共めッ!!これだけ撃ってもやっつけやれないのか?」 天使型「無理言うなよ、相手はランカーだぞ」 虎型「奴を仕留めれば兜首やでェ!!」 忍者型「戦車型を呼んでこい!!戦車砲でビルごと吹っ飛ばすんだ!!」 ドズドズと重い足音を立てて、4台の戦車型が目抜き通りから現れる。 戦車型A「こちらタイガー01、これより支援砲撃を開始する、射線上の神姫は退避せよ」 4台の戦車型が長い黒光りする砲身を一斉に向ける。 種型「遅い!」 セイレーン型「ドゥンドゥンやっちまおうぜ」 戦車型A「タイガー01より各車へ、目標目抜き通り2ブロック先、対MMS戦闘用意ッーーー」 戦車型のオーナーがパチンと指を鳴らす。 戦車型A「ファイヤ!」 ドズンドズンドズン!! 戦車型の主砲が一斉に放たれる。 ズンズンズズズン・・・ ドゴオンゴン・・ 砲弾が着弾すると激しい爆煙と砂埃が舞いビルが倒壊する。 エルザ「出て来い!!化け物めッ!!」 駆逐戦闘機型のエルザが吼えるように叫ぶと同時に、砂埃の中から黄色い閃光が瞬き、音速を超えて後方の戦車型の一台の頭部を粉々に砕いた。 バキャッ!! 戦車型A「タイガー03大破!」 砂埃の中から蒼い装甲を纏った戦乙女型がレールガンを構えて突っ込んでくる。 □戦乙女型MMS 「スクルド」 SSランク 二つ名「蒼」 オーナー名「宇野 瑠璃」♀ 20歳 職業 神姫マスター 種型「出たァ!!!SS級ランカー「蒼」スクルド!!!」 ヘルハウンド型「迎撃!!」 一斉に重火器を構え迎撃態勢を整える武装神姫たち。 エルザ「ヘッハア!!!愚か者め!!突っ込んできおったわ!」 エルザのオーナーの野崎がほくそえむ。 野崎「これは勝ったな」 ズドン!! 後方の戦車型の一台が派手に爆発する。 エルザ「なっ・・・」 さらにもう一台が爆発する。 戦車型A「タイガー02大破、タイガー04大破」 砲台型「対空防御!!上だァ!!」 堰を切ったように砲台型の一群がライフルやリアパーツに懸架されたキャノン砲で応戦する。 ドドダッダダッダダダ!!! 激しい対空砲火を最小限の動きで回避したその神姫も青い装甲を纏った神姫だった。 □戦闘攻撃機型MMS 「グロリア」 SSSランク 二つ名「ヤーヴォ」 オーナー名「海原 幸之助」♂ 55歳 職業 海運業社長 砲台型A「ヤ、ヤーヴォだ!!」 砲台型B「畜生!撃て撃て!」 砲台型C「撃ちまくれ!」 砲台型はグロリア目掛けて持てる武装全てを一斉射撃する。 グロリア「やれやれ、全然なっちゃいない、ただばら撒ければ当たるとでも思っているのか?愚か者め・・・」 グロリアは冷めた目で砲台型に目掛けてリアパーツにマウントしたレールキャノンを連発する。 バキンバキンバキンッ!! 吸い込まれるように砲台型の胸部に弾丸が命中し、砲台型3機は沈黙する。 グロリアはホバー移動で地面を滑るように移動し、他の神姫たちを次々と撃破していく。 エルザ「ちいい!!!グロリアか!出てきやがったなァ!!」 野崎「ようし、アイツを呼べ!!叩き潰してやる」 戦車型A「うおおおおおおお!!」 グロリアの前にパイルバンカーを構えた戦車型が突っ込んでくる。 短く息を吐き、リアパーツからヒートブレードを取り出す。 グロリア「フッ!!」 戦車型がパイルバンカーを打ちつけるが、グロリアはくんとブレードをひねり戦車型の強化アーム間接部分を切り落とす。 戦車型A「ぐあッ!!」 ズドンと重い音を立てて戦車型の強化アームが地面に落下する。 グロリアは間髪いれずに戦車型のリアパーツの上にまたがり頭部にブレードを突き立てた。 頭部をカチ割られ、ブシュッツと粘ついたオイルがグロリアのバイザーがかかるが、グロリアは気にせず、メロンをスプーンで掻き混ぜるように戦車型の頭部をえぐり潰す。 力なく倒れる戦車型・・・ 火器型「ひいい」 そばにいたほかの神姫たちはたじろぐ。 グロリアはオイルでべったりと汚れたブレードを白熱させて蒸発させる。 グロリア「おら、どうしたァ?次に死にたい奴はどいつだ?ぶっ殺してやるよ」 ドズウウン!!!スクルドの方から爆発音が響くと同時にバラバラと様々な神姫の残骸がぼとぼとと落ちてきた。 算を乱して遁走する神姫たち、みな怯えた顔をして武装を放り出して逃げ出す。 ヘルハウンド型「ひいいいいい!!」 種型「うへえああああ!!」 真っ赤なオイルを全身を濡らして蒼と紅のコントラストに彩られたスクルドが虚ろな目で剣を握って突っ立ている。 エルザがライフルを振り回して制する。 エルザ「に、逃げるなァ!!戦え!!逃げる奴は撃つ!!」 エルザはライフルで後ろを向けて逃げる神姫たちに発砲する。 種型「ぎゃッ!!」 ヘルハウンド型「ぎひゅうあ!!」 バンバンッ!! エルザの銃弾を受けて次々と崩れ落ちる神姫たち。 エルザ「はあはあはあ・・・・」 荒い息を吐いてライフルを握り締めるエルザ。 グロリア「あーーあーーひでーことしやがるぜ・・・」 グロリアとスクルドが神姫の残骸を踏みつけながらエルザに近寄る。 エルザ「ひぎゅ!!!」 ビクッと背筋を振るわせるエルザ。 グロリア「たかだか20機ぽっちの雑兵で俺たちを倒せると思ったのが運のツキだったな、ねーちゃん」 スクルド「・・・・」 グロリアとスクルドの周りにはぐしゃぐしゃにつぶれた神姫の残骸が転がっている。 湯気が立っているものもあり、出来立てホヤホヤといった感じだ。 グロリア「どうせ、ネットの書き込みを見てきたタマだろうが・・・残念だったな、オマエラの負けだ。大人しく尻尾まいて帰るんだな」 グロリアは肩をすくめる。 エルザ「ふひひひ、まだだァまだ負けていない!!」 エルザは涎を垂らして叫ぶ。 ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・ エルザの後ろの廃ビルが激しく揺れる。 スクルド「ッ!!超高熱エネルギー反応!」 ドッガアアアーーーン!!! 廃ビルを突き破って巨大な灰色の塊が突っ込んできた。 □強襲戦闘艦型MMS 「アマルテマ」 SSランク 二つ名「タイフーン」 オーナー名「斉藤 誠」♂ 31歳 職業 神姫マスター ブオオオオオオオオオンン!!!! 巨大なファンの音を奏でながら猛スピードでビルや廃屋を飲み込み薙ぎ倒しながら灰色の怪物がスクルドとグロリアに迫る。 エルザ「やった!!やっとキヤガッタナ!」 エルザが小躍りする。 斉藤「ひゃはっはっはは!!!カタリナ社製の最新鋭の突撃ホバー型MMSだ!!!アマルテマ!!奴らを倒して6000万を頂くぞ!!」 アマルテマ「・・・・」 アマルテマは無言で全身に装備された機関砲やミサイルでスクルドたちに一斉攻撃を行う。 ドオドドオドドオドドドッツンン!!! スクルド「くッ!!『ヴォストーク』級突撃戦闘艦型MMS!!グロリア!」 グロリアがうなずく。 グロリア「SS級ランカーMMS、アマルテマを撃破する。スクルド、敵の突進は単調だが高威力だ、当てられるなよ」 スクルド「グロリア、こいつは私が仕留める、あなたは手を出さないでください」 グロリア「ふっ、いいだろう・・・では・・・私は高みの見物とさせてもらおう」 アマルテマがヒートブレードを展開して一直線にスクルドに接近する。 溶けたバターのようにビルや家屋が潰され、粉塵が巻き上がる。 スクルドは空中に飛び上がり、レールガンを撃つが、信じられないことにアマルテマは巨体にもかからわず軽やかに攻撃を回避する。 スクルド「!!」 アマルテマは空に飛び上がったスクルド目掛けて垂直ミサイルを発射する。 ドシュドシュドシュ!! スクルドはレールガンで何発かのミサイルを迎撃し、残りのミサイルはビルにうまく誘導して回避する。 グロリア「敵が速すぎるな。らちがあかん、分かっているな」 アマルテマは間断なく衝撃力の強いミサイルを連発して撃ってくる。スクルドは巧みな機動で回避しときおり反撃のレールガンを撃つが、アマルテアはそれをなんなく回避する。 スクルド「くっ・・・速い!!」 エルザ「いいぞ!!!アマルテア!!『蒼』を撃墜してやれ!!」 エルザはビルの物陰に隠れてアマルテマを応援する。 スクルドは地面スレスレを高速飛行し、アマルテマに近接戦闘を仕掛けようとする。 それに気がついたアマルテアは2mmCIWS機関砲、ガトリング砲をスクルドに向けて強烈な砲撃を加える。 ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドッ!!!!! スクルドはスラスターを吹かして攻撃を回避するが、スクルドの背後にあった廃ビルはガトリング砲の砲撃を喰らって一瞬に穴だらけの蜂の巣になってガラガラと崩れ落ちる。 スクルド「ッ・・・対空砲撃が近すぎて近づけない!」 アマルテマは目の前のもの全てを巨体でなぎ倒し轟音を奏でながら猛スピードで突っ込み、両脇の大型クローでなんでもぶった切る。 廃墟はアマルテアによってぐちゃぐちゃに潰され、アマルテマの足元を逃げ送れた神姫が数機、巻き込まれグチャグチャのスクラップになってミンチにされる。 火器型「ぎゃああああああああああああああああ!!」 虎型「ぶげええ!!」 アマルテマの下敷きになりひき潰される神姫。 グロリア「スピードを殺す手段を考えるんだ。あのビル郡に突っ込ませろ。スピードを殺せ」 グロリアはスクルドに指示を送る。 スクルドは雑居ビルが集まる区画にアマルテマを誘導するように鼻っ面を飛ぶ。 アマルテアはミサイルやガトリング砲を撃ちまくりスクルドを追いかける。 ビシバシ!!バキン!! スクルドの蒼い装甲が穴だらけになっていく。 スクルド「ぐううううう!!」 スクルドは唇を噛み締め、耐える。 角を曲がり、スクルドは大型ビルの正面ロビーに陣取る。 スクルド「はっはっはっ・・・」 荒い息を吐くスクルド。 ドッゴオオオオン!!バッキインンン!! ビルや廃屋を薙ぎ倒し、アマルテマがスクルドに迫る。 スクルドは剣をぎゅっと握りなおす。 スクルド「スーーーーーーハーーーーースーーーーハーーー」 スクルドは大きく息を吸いそして吐く。 グロリア「ほう・・・」 グロリアが顎に手を沿え感嘆の息を漏らす。 アマルテマは大型のヒートクローを前面に押し出し、艦首にある大型ミサイルやビーム砲を撃ちまくる。 しかし例えビルを利用してスピードを殺したとしても、相手はなお速度も早くそして強力な武装で攻撃してくる。 スクルドはそれに臆することなく、じっと攻撃を見極め動かない。 ヒュイイイイイイ ギアをニュートラルにしたままスラスターエンジンの回転数を上げていくスクルド。 斉藤「ヒャッヒャ!!バカなやつだ!!このアマルテアに真正面から攻撃するつもりかァ!!!アマルテま!!!遠慮はいらねえ!!大型ヒートクローでぶった切れ!!」 アマルテマ「・・・・」 アマルテマは大型のヒートクローを展開し、ジャキンとハサミをカチ鳴らす。 スクルド「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」 スクルドはギアを入れ替え、機体がバラバラになる寸前まで最高速度で一気に加速し、アマルテマに突っ込んだ。 斉藤「バカか!?こっちは数十倍の巨体なんだぞ!?」 アマルテマも最高速度で突っ込む。 ミサイルのシャワーを掻い潜り、機関砲の弾幕を抜け、ビームの砲撃を回避し、大型ヒートクローの攻撃を見切り、スクルドは突っ込む。 あまりにもスクルドとアマルテアの両方の速度が速すぎたため、ミサイルの信管は作動せず、機関砲の近接信管もズレて爆発し、ビーム砲の照準もずれた。 大型ヒートクローの攻撃もスクルドの速さに追いつけずタイミングがずれる。 スクルドはすれ違いざまにアマルテマの艦橋ブロックの胸部を思い切り斬り付けた。 アマルテア「ッツーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」 驚愕の視線でスクルドを見つめるアマルテマ。 バッギュム!! アマルテマの上半身が粉々に砕け散り、制御を失ったアマルテマの巨体は速度を落とさずに大型ビルに突っ込み、大爆発を起こして爆沈する。 ドッガアアーン!!! スクルドはアマルテマの最後をちらっと見ると振り返らずにそのままステージの上空へと駆け上がる。 □強襲戦闘艦型MMS 「アマルテマ」 SSランク 二つ名「タイフーン」 撃破 斉藤「ば、バカなァ!!!お、俺のアマルテアがァ・・・うおおおおああああああ!!」 ドンズズズン・・・ゴオオオオオン・・・ 崩れ落ちる大型ビル、その下敷きになって小規模な爆発を繰り返して醜い残骸を晒すアマルテア」 スクルドの装甲はボロボロの穴だらけで傷だらけであったが、スクルドの瞳だけは爛々と強気に満ちていた。 グロリア「ランカーMMS、アマルテマの撃破を確認、様になってるじゃないか」 グロリアはスクルドの肩を叩く。 スクルド「あの突撃がもし、失敗していたら負けていたのは私のほうだった・・」 グロリア「でも負ける気はしなかったんだろう?」 スクルド「・・・・まあね・・・」 ぺロッと舌を出すスクルド。 エルザ「あ・・・ああ・・・なんてことだ・・・」 エルザは自分の浅知恵を悔いた。 20体のSクラス、Aクラスの完全武装の神姫に、切り札のSSクラスの化け物神姫「アマルテマ」、それを持ってしても勝つことは愚か、決定的なダメージすら与えていない。 野崎はバトルロンドの筐体からエルザに指示を出す。 野崎「エルザ、もういい戻って来い」 エルザ「スクルドにグロリア、あの2人はホンモノの武装神姫だ。生半可な武装神姫では勝てません!!オーナー!」 エルザは悲鳴のように叫んだ。 野崎「わかっている。だが、今回の戦いは無駄じゃないよ・・・私らは所詮斥候さ」 にやっと笑う野崎。 エルザ「・・・・戻りますオーナー」 エルザーはぐしゃぐしゃになった廃墟ステージを抜け出した。 野崎は負けたにもかからわず飄々としている。 野崎「敗北したのは問題じゃない、ようはその敗北を次に同やって」生かすかだ、それは敗者の特権だよエルザ・・・」 To be continued・・・・・・・・ 次に進む>「敗北の代価 9」 前に戻る>「敗北の代価 7」 トップページに戻る
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さて、そろそろ名探偵に登場願おう。 アスカ・シンカロン09 ~信迦~ 「―――って、言ったらどうする?」 「別にどうもしないよ」 静かに答えたのは、北斗の悪友。 悪知恵がよく働くタイプで、近隣地区でも十指に入る神姫を保有する策士型の神姫オーナーでもある。 北斗と双子に彼を加えて、学校では割とやりたい放題やっていた仲だ。 「…………」 引き合わせて以来、黙ったままの戦闘機型神姫を眺め、軽く息を吐く。 「取りあえず、北斗の話を要約すれば。変な奴から手に入れた神姫が、死んだ弥涼姉と同じ記憶と人格を持っていたと言う事だろう?」 「そうなんだよ、そういうのってあり得るのか?」 「無いよ」 キッパリと、一言で斬って捨てる悪友。 「人格に関してはゼロじゃないと思うが、記憶は絶対に有り得ない」 コイツ等、と言い掛け。彼は自分の肩を指差そうとした所で、そこに神姫が居ない事に気づくと、その指をテーブルの上の明日香に向ける。 「神姫の記憶は起動時にはゼロだ。出荷段階でプリインストールされているデータは記憶じゃなくて知識だからね」 AIとCSCが組み合わさって稼動する事で、初めて記憶するという行為が可能になるのだと彼は言った。 「仮に、弥涼姉の記憶をデジタル抽出できたとして、それを神姫にインストールした所で、その神姫はその記憶を知識として持つだけだ。自分の記憶と思う事なんて無いよ。 人間の記憶じゃなくて、他の神姫の記憶でも同じ。……一端リセットされた神姫は、同一素体、同一CSCの組み合わせでも、以前の記憶を持っていたとしても、それを記録としてしか認識出来なくなる」 「要するに、神姫に人間の人格や記憶が宿る事は無い、と?」 「うん」 頷く少年。 「普通なら、ね」 「普通なら?」 それ以外の可能性を含んでいるような声に、思わず聞き返す北斗。 「話を変えるけど、弥涼妹はどうしてるの?」 「んあ? 夜宵か?」 「そう」 質問の意図が分らない。 「本当はさ。弥涼姉が死んだ時点で、妹も死ぬと思ってたんだよね、僕は」 「?」 「少なくとも、妹(カタホウ)だけ無事に残る可能性は、ゼロだと思ってた」 「???」 「でも、現に姉だけ死んで妹が生きてる。そのバランスを取る為に神姫を受け皿にした……。ってのは、ちょっとファンタジー過ぎるかな?」 「何言ってるんだかわからねぇよ。分るように言ってくれ!!」 「そうだね、北斗に情報を与えすぎても混乱するだけか」 付き合いの長い友人だ。 北斗の性質を熟知している少年は全てを一言に纏めて言った。 「明日香は夜宵で、夜宵は明日香だよ」 「?」 疑問符を浮かべながら思い出す。 そういえばこの悪友、明日香と夜宵を区別する事を放棄している節がある。 弥涼、弥涼とそう呼び、使い分けの時も姉、妹、だった。 不思議と双子の方もその呼び方を気に入っているようで、双子にとっても友人といえる数少ない存在になったのは、彼のそんな部分が所以だったようにも思う。 それはつまり、双子であるが故の近似。 正反対の性格を持ちながら、入れ替われるほどに互いを理解しているという事だろうか? ◆ (つまり、死んだのは夜宵の方、なのか……?) 彼が去ったテーブルで、北斗は一人考える。 (二人の容姿が同じで、DNA鑑定とかも同じなら、肉体的には明日香と夜宵は入れ替われる) だから、時間的に明日香が学校まで行って自殺する事がが不可能でも構わないのだ。 (明日香がテレビを見ているとき、夜宵は学校まで歩いていって、そこで自殺した……?) だったら。 「だったら。オマエはどっちなんだ?」 「…………」 飛鳥は答えない。 「…………」 「…………」 うつむいたまま、決して喋ろうとはしなかった。 ◆ 頭がおかしくなりそうだった。 キモチワルイ、キモチワルイ、キモチワルイ。 「何あれ、気持ち悪い」 夜宵は家に帰り着くなり玄関で吐いた。 生まれて初めて買ったお揃いでない服。 それが汚れるのも構わずに胃の中身をぶちまける。 「何なの、あの神姫」 理解できない。 頭痛がする。 眩暈がする。 吐き気がする。 「何で。何で……」 北斗か誰かに仕込まれた? まさか。 そんな事はありえない。 そう言う次元の話ではない。 「あれじゃあまるで」 不快だった。 気づくまでは、ただ不快だった。 明日香を名乗るからか、酷く気に障る。 そう思うだけだった。 「あれじゃ、あれじゃぁ…」 でも気付いてしまった。 そしたらもうダメだった。 名前なんかが理由ではなかった。 あの神姫の所作の全てに、覚えがありすぎる。 忘れもしない。忘れるわけが無い。 今までの人生の全てに刻まれている。 「あれじゃあまるで、本当に“私”みたいじゃない…!!」 酷く。 気持ちが悪かった。 「……ふふフ」 そんな彼女を、白い悪魔だけが見つめている。 傍に居るのは北斗でも血を分けた片割れでもない。 ただ、悪魔だけが傍に居た。 トップページの縦長化に打開策を。 携帯とかだと如何見えるんですかね、コレ? ↑浅知恵終了のお知らせorz -
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ウサギのナミダ ACT 1-12 □ 海藤がコーヒーカップをゆっくりと配り、そっと溜息をついた。 「僕がバトルロンドをやめた理由……言ったことなかったっけ?」 「ないな……君から自分のバトルの話自体、聞いたことがない」 そうか、とコーヒーを一口飲んで、また一つ溜息をつく。 海藤も以前はバトルロンドのプレイヤーだった。 実力もかなりのものであったらしい。 だが、俺が神姫を血眼になって探すようになった頃には、すでにバトルロンドをやめていた。 だが、興味がなくなったわけではないらしい。 今でも、主要な大会の映像はチェックしているようだし、バトルロンド用のパーツや改造方法なんか俺より詳しいくらいだ。 だからなおのこと、俺には海藤がバトルをやらないことが解せない。 「……あまり、格好のいい話じゃないんだ」 「……今の俺以上に格好悪いマスターはいないから安心しろ」 苦笑しながら、海藤はさらにコーヒーを一口。 そして、観念したように目を閉じた。 「僕がバトルロンドをやめた理由はね……バトルロンドを嫌いになりたくなかったからだよ」 かつて、俺も通うあのゲームセンターに、腕利きの神姫プレイヤーがいた。 空中戦闘タイプで、近距離、遠距離共にこなす万能タイプ。的確な戦術と、高度な技術に裏打ちされた戦闘スタイル。 マジックマーケット社製の武装パーツを中心に組み上げられた武装は、エウクランテの羽とイーアネイラの下半身パーツを中心にして、水中を泳ぐがごとく自在に飛行することが出来た。 勇猛果敢な戦闘スタイルと、空中を自在に翔る姿から、『シードラゴン』とあだ名されていた。 それが、海藤仁と神姫・アクアだった。 「シードラゴンか……聞いたことあるな……三強の一人が、同じような武装をしている」 「あの装備は、羽と鰭の連動が難しいんだけど……へぇ、使いこなせる神姫がいるなんてね。会ってみたいな」 「……やめておいた方がいいぞ。人間性に問題があるから」 シードラゴンは公式大会にも積極的に参加した。 公式のポイントも稼ぎ、ホビーショップや神姫センターで行われるローカル大会でも勝つようになり、少しずつ知名度も上がっていった。 いきつけのゲーセンではトッププレイヤーの仲間入りを果たし、シードラゴンの噂を聞きつけてゲーセンにやってくる神姫プレイヤーもいた。 そして、来たる全国大会。ここC県エリアの代表候補に、シードラゴンのアクアの名前が挙がっていた。 「その当時のこと、『ヘルハウンド・ハウリング』のマスターなら知ってるかな」 「ああ、彼はまだバトロン現役なんだ? がんばるなぁ」 「最近は三強の一角で、ちょっと天狗になっているけど」 「僕がやってるころはまだ、その二つ名で呼ばれはじめた頃だったよ」 そして、待ちに待った全国大会の地区予選の時がやってきた。 公式の神姫センターで開催される大規模な大会。 県内から有力な神姫が集まり、バトルを繰り広げる。 海藤とアクアは、意気揚々と大会に臨んだ。 シードラゴンは順調に駒を進めた。 そして準決勝。 いずれ劣らぬ武装神姫ばかりだったが、マスターと神姫の連携、戦術はシードラゴンが頭一つ抜きんでていた。 C県エリア代表はシードラゴンのアクアだと、誰もが信じていた。 海藤も優勝する自信があった。 「だけど……僕たちは準決勝を戦えなかった」 「……なぜ?」 「他の準決勝進出者からクレームが入ったんだ。違反行為をしている可能性がある、ってね」 「そんなこと……君がしたとは思えない」 海藤との付き合いは高校一年の時からだが、そういうルール違反に手を染めるような性格でないことはよくわかっている。 「うん、僕もしていない。しているはずがないんだ。でもさ……その準決勝進出の三人のマスターが口をそろえて抗議したんだ。 その理由がさ……おかしいんだよ」 海藤は笑った。ものすごく苦いものを飲んで、その味をごまかすような表情で。 「イーアネイラだから」 「え?」 「イーアネイラが、準決勝まで勝ち上がれるはずがない、そんなに強いはずがない、何か問題行為をしているに決まっている……ってね」 「な……」 俺は驚きを通り越して、あきれかえった。 そんなバカな話があるか。 特定の神姫が特別弱くて、決して勝ち上がってこられないなんて。 「そんなの、いいがかりもいいところじゃないか」 「うん……でも、その抗議は受け入れられた」 「……は?」 「それで、大会のスタッフが、準決勝前にアクアのボディと武装をチェックした」 アクアがテーブルの上から、心配そうに自分のマスターを見上げている。 それを見て、俺の胸が痛んだ。 気軽に振っていい話じゃなかった、と今更後悔した。 「そしたらさ……武装に塗った塗料から、ごく微量のレーダー攪乱効果のある成分が見つかったって。 確かに、アクアの武装をネイビーブルーで塗装していたんだけどね……」 「……何の塗料使っていたんだ?」 「普通の、ホビーショップで売っている塗料だよ。一番ポピュラーなやつ」 「そんなの、他に使っている神姫だっているはずじゃないか!」 あんまりな話に、つい声が大きくなってしまった。 すまん、と謝り、俺は下を向いて、海藤の話しに耳を傾ける。 「うん……だから、僕も抗議したよ。でも通らなかった。 もし準決勝を戦いたければ、塗装をしていない武装だけ使いなさいって言われてね」 視界に、海藤の手が見えた。 握った拳が白くなっている。 強く、握っている。今思い出しても、拳を握ってしまうほど悔しかったのだ。 「そんなことをしたら、アクアは何の装備もなく、素体だけで戦うことになってしまう。 それは無理だ。だから……棄権したんだ」 「……」 「で、その準決勝に出た三人が、実は秋葉原の神姫バトルミュージアムの出身でさ……」 「ちょっと待て。県内でバトルしてたわけじゃないのに、C県エリアの代表大会に出てたのか!?」 「そうだよ」 「そんな……それは筋が通らないんじゃないのか」 たとえば、高校のインターハイとかで、個人競技の選手が、都内の高校に通っているのに、別の県のインターハイ予選にエントリーして優勝してしまう。 それを「県の代表」ということが出来るのか。 「だけど、バトルの取得ポイントさえ足りていれば、どこの神姫センターの大会にでもエントリーできるんだ」 「そんなバカな……」 「そうなんだから仕方がない。 それで、そのバトルミュージアムでは、激戦の秋葉原を避けて、あちこちの郊外のエリア大会に遠征組を派遣したんだ」 「そんな……その連中が勝ち上がったら、全国大会じゃなくて、そんなの、ただの身内の大会じゃないか……」 「そういうのは少なからずあるよ。おそらく、関西でも、有力な神姫センターやゲーセン、ホビーショップでは同様のことをやってる。そうやって、同じ店から全国大会出場者が一人でも多く出れば、箔がつくしね」 公式大会に出る気は最初からなかったので、海藤の話は初耳だった。 てっきり、参加する大会のエリアに在住していなければ、そのエリアの大会には参加できないものだと思っていた。 今の海藤の話に、俺は納得できなかった。 全国大会ならば、そのエリアを代表する神姫が出場するべきであって、他のエリアから乗り込んでくるなんていうのは、ルール違反じゃないのか。 激戦区の選手達は、確かにレベルが高いのだろう。 地方のゲームセンターでならしているだけでは、勝てないのかもしれない。 だからといって、そのエリアに乗り込んでいって、エリア代表になるというのは違うと思う。 実力があれば何をしてもいいというのか。 その実力がない、地元の神姫プレイヤーが悪いというのか。 見ず知らずの遠征チームがやってきて、実力で大会を勝ち抜いて、地元を代表しますと言ったところで、地元の神姫プレイヤー達は心情的に納得が行かないだろう。 それに、よく見知った神姫が別のエリアから勝ち上がってきたところで、つまらないではないか。 別のエリアには、様々な戦い方をする、未だ知られていない実力者がいて、戦うことが出来るかもしれないのに。 俺が悶々と考えを巡らせていると、しばらく黙っていた海藤が口を開いた。 「まあ、遠野の言いたいこともわかるよ。僕もそうあるべきだと思ってる。 でも、現実は違う。 それで、さっきの続きに戻るけど……秋葉原の神姫バトルミュージアムって、あの鶴畑財閥の経営なんだ。 しかも、準決勝の三人は、鶴畑の次男坊・大紀の舎弟だった」 「っておい……それじゃあ、そのいいがかりは、まるっきり仕組まれてたんじゃないのか!?」 鶴畑財閥といえば、神姫のオーナーで知らない者はいないというほど有名だ。 あらゆる神姫関連の製品を扱っているし、公式大会の大手スポンサーでもある。 鶴畑財閥の御曹司三人は、いずれもバトルロンドのプレイヤーで、こちらも非常に有名である。 次男の大紀は、あまりいい噂を聞かないことで有名な人物だ。 大手スポンサーの鶴畑財閥と、その経営する神姫センター、そこから送り込まれた遠征組と、バックにいる次男坊……誰が考えても、海藤へのいいがかりは策謀だったとしか思えない。 「だけど、証拠がない」 興奮してしまっている俺に対し、海藤は至って冷静だった。 「大会の時は時間もなかったしね……真相は誰にも分からずじまいさ」 「君らだけが貧乏くじを引いて……それで、秋葉原の連中がC県の代表になったって言うのかよ……」 やりきれない話だ。 「大会の後、僕はゲーセンに行くのをやめた……翌日行ったら、みんなに卑怯者呼ばわりされてね……」 「……あそこのゲーセンはそんなのばっかりか」 「まあ、端から見てればそう見えるんだろうし……。 それで、僕はバトルロンドをやめることにした。 僕はバトルロンドが大好きで、今でも情報はチェックしているけど、もう自分でやりたいとは思わない。 実力ではない……何か別のところで勝負が決まっていることが、やっぱり、どうしても、許せなかったんだ。 このまま続けていれば、きっとバトルロンドが嫌いになる。バトルロンドを好きでい続けたいから……やめたんだ」 気の優しい海藤であっても、そこまで許せないものがあるのかと、正直驚いた。 そして、俺は自分が少し恥ずかしくなった。 「すまん……俺ばっかり、辛い目に遭ってるような顔をして……」 「何言ってるんだ。誘ったのは僕の方さ」 コーヒーを淹れ直そう、と空になったカップを回収し、海藤は立ち上がった。 俺があらためてドーナツの箱を開けると、テーブルの上にいるアクアと目が合った。 少し思い詰めたような表情。 アクアは思い切ったように、俺に言った。 「マスターは……それでも本当は、バトルロンドをやりたいのだと思います」 「え……」 「こら、アクア」 コーヒーを淹れて戻ってきた海藤がたしなめる。 「余計なこと、言うもんじゃない」 「ですが……マスターは、あのクイーンの戦いぶりを見て、目を輝かせていたではありませんか。まるで子供のように」 「クイーンのバトルを見て、ワクワクしない武装神姫ファンはいないよ」 海藤は俺の前にコーヒーを置いた。 そして言う。 「クイーンはすごいよね。あの秋葉原で、正々堂々戦って、そして全国出場を決めているんだ。尊敬するよ」 「そうか、秋葉原は鶴畑の……」 海藤は頷いた。 言ってみれば、秋葉原は鶴畑の本拠地だ。 そこで、彗星のように現れた神姫が、フェアプレーで、実力で勝ち上がったのだ。 海藤には大いに思うところがあるのだろう。 「いま仮に、前の装備を引っ張りだしてきて対戦しても、大した勝負にならない。だから対戦する気もないけど、協力はしてあげたいと思うよね」 そもそもクイーンと会う機会もないだろうけど、と海藤は苦笑した。 海藤の家を出るときには、雨が降っていた。 「これを使いなよ」 ビニール傘を貸してくれた。ありがたい。 雨の中、駅に向かう道すがら、俺はまた考えを巡らせる。 バトルロンドをやめた後、海藤はもう一つの趣味である熱帯魚の飼育が行きすぎて、ついには水族館でアルバイトをするようになった。 海藤は大学生だが、水族館に入り浸り、いまはほとんど大学に顔を出していない。 その水族館での仕事に、アクアをアシスタントとして使っている。 それがお客の目に留まり、少しずつ話題になった。 魚たちと一緒に水槽を泳ぐアクアの姿は、まさに人魚姫のようだ。 「K水族館の人魚姫」と呼ばれ、神姫の雑誌の表紙を飾ったこともある。 海藤はバトルロンド以外でアクアが活躍できる場所を見つけたのだ。 彼は俺に言った。 「神姫が活躍できる場所は、バトルロンドだけじゃない。戦う以外の道も選択肢だよ」 そうなのかもしれない。 俺はバトルロンドにこだわっていたが、そうでない道をティアに歩ませることが出来るのかもしれない。 ティアを大切に思うなら、もうこれ以上傷つけたくないと思うなら、そう言う道を探すのがマスターたる俺の仕事かもしれない。 海藤とアクアのように、バトルでなくても、自分達の活躍の場を得て、笑い合うことが出来るなら……それは幸せなことなのだろう。 そんなことを考えているうちに、気がつくとアパートの前にいた。 ポケットから鍵を出す。 扉を開ける。 慣れきった、無意識の動作。 「ただいま」 返事はなかった。 少し寂しい気持ちに捕らわれる。 ついこの間まで、ティアが来るまで、返事なんてなかったのに。 ティアの「おかえりなさい」という控えめな挨拶が、もう耳に慣れきっていたのだ。 ……なんで返事がない? ティアは自主練で留守番じゃなかったのか!? 俺は急いで靴を脱ぎ、玄関を駆け上がる。 部屋に飛び込んだ。 「ティア!?」 そこには誰の姿もない。 静まり返っている。 俺の荒い息と時計の音がやけにうるさい。 夕方の薄暗い部屋の中、PCのディスプレイの明かりが浮き上がって見える。 俺はマウスを操作し、スクリーンセーバーから通常画面に復帰させる。 マウスの手触りに違和感を覚え、机の上を見た。 「水滴……?」 キーボードやマウスの上のそこかしこに、小さな水滴が点々とついている。 なぜ水滴が……。 俺は不審に思いながら、復帰したディスプレイ画面を見た。 背景はウェブブラウザだ。どこかの巨大掲示板が画面に映されている。 その手前にワープロソフトが立ち上がっている。 短い文面。 「……ばっ……かやろ……っ!!」 次の瞬間、俺はアパートを飛び出していた。 外は雨。 傘を忘れている。 知るか! 俺は雨の中を走る。 ワープロで書かれた、それは短い置き手紙。 マスター もうこれ以上迷惑かけられません さようなら ティア 次へ> トップページに戻る
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アールとエルと 著:アールのマスター 加筆修正されているところもあります 本編 アールとエルと ある日、おもちゃ屋で手に取った武装神姫 目覚めた神姫、アーンヴァルのアールとの 新しい日々が始まった… 捨てられていたストラーフのエルも加わり 三人の生活は続く… 登場人物及び神姫紹介 1話 目覚め 2話 好きなものは? 3話 初めてのおでかけ 4話 新しい家族 5話 剣の舞姫(ソードダンサー) 6話 運命の日 岡島士郎と愉快な神姫達とリンク 7話 新たな武器を探せ HOBBY LIFE,HOBBY SHOPとリンク 8話 剣の名は 9話 鳳凰杯への挑戦 鳳凰カップシリーズ参加作品 10話 もうひとつの戦い 鳳凰カップシリーズ参加作品 11話 鳳凰杯・激突!『剣の舞姫』VS『鋼帝』鳳凰カップシリーズ参加作品 12話 鳳凰杯・悪魔の裁き鳳凰カップシリーズ参加作品 外伝 しるくろぉぉどぉ No1 エプロンろぉぉどぉ